第6章 戦利品宅に訪問
「ふぅ、付き合ってもらって悪かったわね」
「んなこたァねえ、きにすんな」
は静かに笑って俺の隣、助手席に座って買ったばかりの土鍋の説明書を読んでいる。
俺は説明書なんかは読まねェたちだから、こんなに大真面目に説明書を読むは少し変わっていると思った。
「楽しいかぁ…?」
「えぇ、変な小説を読まされるよりはずっと、ね」
説明書っつっても分厚い本とかそんなんじゃねぇ。裏表に説明が書いてある一枚の紙だ。それをじーっとみつめ、読み終わったのか抱えている箱の中に綺麗に折りたたんでしまう。
「あ、私の家はすぐそこよ、もう大丈夫。」
「何言ってんだよ、こんな大荷物…俺にも手伝わせろってんだ」
「…世話焼き、なのね」
世話を焼きたくなるのはだけだ、なんて言えるわけもなく、そんなことねぇと苦笑いをした。
手伝うなんていうのは口実で、ただ家の場所を知りたかった。家の場所を知っていいことがあるかなんて、そんな事はどうでもいいんだ。俺はがどんな環境にいて、どんな奴らに囲まれて生活しているのかが心配なだけだった。
…ストーカーだとか言われても、仕方がないな。
「ここよ」
「っし、じゃあ降ろすか」
の住んでいるところはそれ程古くもなさそうな大きなマンションだ。俺の所と違うのはマンションの出入り口に暗証番号を入力するところがあるところだな。
「私の部屋は5階なの、重い荷物ばっかり持たせてごめんなさい」
「大丈夫だっての」
はどうやら心配性のようだな。前世はこうやって毛利の野郎に気を使ってたかと思うと今でも腹立たしくなってくるぜ。