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君と鼓動が重なる時・2【進撃の巨人】

第59章 もしもその時が来たとしたら





「……この世界に、もしものことがあったら、
凛だけでも助かって欲しいから。」



やっと口を開いたモブリットが言った一言は、
想像もしていなかった言葉だった。




「凛も知ってる通り、
もう既に一度、壁は破られてる。
調査兵の俺がこんな弱気なことを
言うべきじゃないのは分かってるけど、
ここに巨人が攻め込んでくる可能性が
ゼロな訳じゃない。」




何度も読み返した
巨人に纏わる報告書が頭を過る。


巨人の恐ろしさは、まだ見たことがない
私にだって十分伝わっていた。





「もし、万が一、その時が来たら。
凛が元の世界へ戻る術があるなら、
戻って欲しいんだ。」



返す言葉が見つからず、口を閉ざす。




「……ごめん。
勝手なこと言ってるのは分かってる。
それに実際そうなったら、
俺たちは真っ先に戦いに出なきゃいけないから
凛をそこまで
連れて行くことも出来るか分からない。
だけど、凛さえ
その場所に辿り着くことが出来たら。
君だけでも助かることが出来たら、」

「モブリット」



声を上げてモブリットの言葉を塞き止める。


まだ掛ける言葉は見つからない。



それでもこれ以上モブリットの話を
聞いていられなかった。

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