• テキストサイズ

君と鼓動が重なる時・2【進撃の巨人】

第32章 エルヴィンの感情




お互いがそれぞれ作業を始めて
それなりの時間が流れた。

凛は正面に座るエルヴィンの顔を盗み見る。



真剣な表情で書類に目を通し、
サインをし、また次の書類へ移る。

しばらくはその繰り返しをするのだろう。


団長は確認書類がとにかく多い。

もう面倒だから適当にサインだけ、
と言う訳にはいかないから厄介だ。

人の命が関わる調査前の書類は特に、
下手な許可は出せない。

分隊長からの書類は
殊更、細かく目を通す必要があった。



「……エルヴィン。それ終わるの?」

ついそう問いかける。


「……どうだろうな。
とりあえず今日中には終わらせたいが、
既にもう無理そうだ。」

エルヴィンは壁に掛けてある時計を一瞥した後、
軽く首を後ろに反らせた。



逞しい首筋に浮かび上がる骨太な骨格、
太い血管すらもいやらしい。


エルヴィンの何気ない動作を見るだけで
ついそんなことを思ってしまう自分は
相当溜まっているらしい。



「もうこんな時間なんだね。
紅茶でも入れようか?」

部屋に入ってすぐ淹れた紅茶は、
既に冷めきっていた。

凛は席を立つ。


「いや、いいよ。この調子だと、
どうせまた冷ませてしまう。」

エルヴィンは立ち上がった凛の手を
反射的に掴んだ。



「……久しぶりにエルヴィンに
触った気がする。」


「……君はさっき会ってからそればかりだな。」


フッと息を漏らしたエルヴィンは
凛から手を離そうとするが、
逆に凛はエルヴィンの手を握る。



「忙しいのにごめん……
ちょっとだけ充電させて。」

凛は心底申し訳なさそうな声を出しながら
エルヴィンに頭を下げると、
書類を見つめたまま
エルヴィンの手を強く握り締めた。

/ 1588ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp