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君と鼓動が重なる時・2【進撃の巨人】

第31章 それぞれの感情




その日の午前中の訓練時間が終わり、
凛は変装を解いて自分の仕事に戻る。

午後も訓練の様子を見に行きたかったが、
そんなことをしている余裕は自分にもない。

実際こうしている間にも
結構な勢いで仕事は溜まっていた。


取り敢えずリヴァイが
想像を絶する強さであろうことは分かったし
それなりに満足は出来たが、
結局エルヴィンの訓練風景は
まだ見られていない。


それどころか最近エルヴィンと
殆どまともに顔を合わせていない。

仕事が立て込んでいるのは分かる。

それでもここまで会えないと、
意図的なものを感じてしまっていた。



「……いや、でも避けられる心当たりは
ないしなぁ。」

小さく呟き、足早に自室に戻ろうと
基地の廊下を歩き始めたその時、

「凛さん。」

後ろから声を掛けられ、
間を置かず振り返る。


「ほら。もう後姿でさえ、
すぐに気付きますよ。」

「それはエルドの観察力が
優れ過ぎてるからだよ。」

そう言って、横に並んで
歩き出したエルドに笑いかけると
それ以上の微笑みを返され、
思わず見惚れてしまう。



本当に。

この兵団は顔の整っている兵士が多い。




「兵長、凛さんに
気付いてなかったみたいです。」

「良かった。
エルドとペトラのお蔭だね。ありがとう。」

「いえ。でもまだ団長の訓練風景は
見られてないですよね?
明日も来ますか?」

「いや……さすがに仕事が
溜まってるからやめとく。」

凛はそう答えてすぐ、

「それより、何で私が団長の訓練風景まで
見たいと思ってるって」

「見てたら分かりますよ。
凛さん無意識でしょうけど、
団長探してるみたいでしたから。」

エルドは被せる様に即答し、

「ほんと、その観察力怖い。」

そう言った凛を見て、
満足そうに顔を綻ばせた。


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