第158章 番外編《それぞれの“これから”のすごしかた》

「……で、毎回何でこうなるんだろうね？」

「それは俺も聞きたい。」


部屋に取り残されたミケと顔を見合わせ、同時に吹き出した。


最後にあの世界でそれぞれとの時間を取った時と同じように、二人きりで話せる時間を設けることになった訳だが、それこそあの時と同じようにコイントスをした結果、ハンジを除いた上で、全く同じ順番に納まっていた。





「やはり欲深すぎるのは問題なんだろう。」


ミケはそう言いながら、まだ頬を緩ませている凛に視線を向ける。


この顔には、相変わらず魔力が備わっている。


そんなことを思ってしまう程、この笑顔が魅力的に思えて仕方なかった。




「だが俺も、今回はあいつらに気遣わずに迫るつもりでいるが。」


犯行予告とも取れる発言を溢すと、凛の視線は俺から逸らされる。
と同時に、頬は赤みを帯びてきていた。


ハンジから聞いた話だと、凛はしばらく男と接することがなかったようだし、男に対する免疫もなくなってきているのかも知れない。

それなら強引に行くのも悪くないだろう。



「俺もずっとお前を探していた。
今はエルヴィンたちと同じように、お前を自分だけのものにしたいと思ってる。」

「……前世の記憶は？」

「ある。だから今ここでこんなにお前に言い寄ってるんだろうが。」


凛との距離を詰め、見るからに熱っぽい頬に触れる。


……ああ、そうだ。こんな感触だった。


指先から、柔らかい安心感を覚える。

記憶の引き出しを片っ端から開け放ち、凛の頬から耳、耳から鎖骨に掛けて、ゆっくりと指を滑らせた。