第148章 反省も譲れない想いも
「エルヴィンも可笑しくなってきた?」
「いや、少し自意識過剰な妄想をしてニヤついてしまっただけだ。」
吹き出した理由を正直に吐露しながら、カレーライスを口に運ぶ。
本当に驚くほど美味い。
斬新な色合いな上に、全く食べたことのない未知の味なのに、これ程までに味覚を満足させてくれるのは何故なのだろう。
この世界の食べ物は、本当に不思議だ。
カレーに使用されている数多くのスパイスが、自分のいる世界には存在しないことは、凛から聞いて判明した。
スパイスの種がない以上、作り出すことは不可能だから、これが一体どんなスパイスを組み合わせて出来ているのか、なんてことを考えても意味がないことは分かっている。
だが、これを兵団の仲間たちにも食べさせてやりたいと強く思ってしまう。
「カレー、相当気に入ったみたいだね。」
「……ん、ああ。」
咀嚼を終えてから返事をすると、頬杖をついている凛の優しい瞳が、一段と柔らかくなった。