第137章 大切な時間

「モブリットは？
キスマークつけたことある？」


「……それ、本当に聞きたいの？」

「そう言うってことは、あるのか……」


どこか残念な気持ちが込み上げてくる。


そりゃ、モブリットだってそのくらい経験あるよなぁ……

頭の中ではそう思っていても、どうしてもモヤモヤした感情に包まれるから困る。


過去の彼女に嫉妬してどうするんだ……

そもそも私は今モブリットの彼女でもない。


……相変わらず自分の独占欲が怖い。



俯いたモブリットを見ながら、

「いや、普通あるよね。
聞いてみただけだから。」

と、声を掛けてすぐ、赤らんだままの顔が近付いた。



「……初めてじゃなかったら、凛に付けるのもダメ？」

「え、」

「俺も凛に、独占欲ぶつけたい。」


モブリットがそんな提案をしてくることが意外で、不意に言葉を噤んだ。