第137章 大切な時間
「凛、ごめん、待たせたっ……」
ハンジが部屋を出て、しばらくしてから、息を切らしたモブリットが部屋を訪れる。
「大丈夫。調査翌日の忙しい時だからね。
こっちこそ時間制限あって申し訳ない……」
「いや……
普段の調査後に比べたら、格段に楽だよ。」
呼吸を荒くしたままで、モブリットはベッド脇の椅子に腰かけた。
「被害者が出なかったことはやっぱり大きいね。
報告書の枚数、だいぶ変わるでしょ?」
「ああ。
それに被害報告の書類がなくなったことで、精神的にもかなり楽になった。」
柔らかい表情のモブリットを見て、安心感を覚える。
本当に仕事の負担は減ったのだろう。
誰の心も苦しめることがなかった今回の調査結果は、本当に尊いものだと思う。
だけど毎回の調査が、こんなに上手くいくとは限らない。
それでも、このまま被害が出なければいい。
その思いは強くなる一方だった。