第136章 調査中は思慮の時間

「ごめん、モブリット！
サラッと余計な一言言っちゃった！」

「いえ。
ケイジは何かと鋭いですからね……
ですがさすがに、あれくらいじゃ何のことか分からないでしょう。」


モブリットは書類を纏め、自分もテントに戻る支度を始める。


ハンジさんの不用意な発言は今に始まったことじゃない。

それでも、さっきくらいの発言で何かを勘付けるほどでもないだろう。


片付け終わってテントを出ようとした時、横からつんつんと頬を突かれ、視線を分隊長に向ける。



「モブリット、妬いた？」

「妬きませんよ……
団長と凛の考える作戦の相性が合っているのは、兵団にとって有益でしかありませんからね。」

「他の相性も良さそうだけど？」


「……それについては自分も分かりかねます。」


……一体ハンジさんは俺に何を言わせたいんだ。


ニヤつく分隊長の顔を横目で見る。




「そういうの、気にならないの？」

「そういうの、とは……？」

「エルヴィンやリヴァイが、凛をどんな風に濃厚に抱いているのか、どんな甘い言葉を囁いて誘惑しているのか、とかね。」


「……それは自分が気にするべきことではないので。
気になったところで、知りようもないですし、」

「そう言うってことは気になりはする、ってこと？
二人にちょっと聞いてみようか？」

「やめて下さい！聞かないでいいです！
と言うか、それ以前にそんなこと絶対教えてくれないですからね！」


思わず声を荒げてしまうと、分隊長は肩を震わせて笑い出した。