第14章 親愛なる先生へ(武田一鉄)
2枚目突入
そんなわけで(?)、私は武田先生のことが大好きです。
2年生になった4月の始めに、好きな教科の欄に現代文と書いた時、現代文ではなく先生が好きだと気が付きました。
夏休みの補習の時に、みんなで1時間目からあっついなーってパタパタ下敷きで扇いでいる中、「聞いてください!今朝学校に来る途中、今日の青空と同じ色の朝顔を見つけたんです!」って嬉しそうに報告をした先生のことが好きでした。そういえばあの時、外国の空の青は日本よりも濃くて綺麗だという話をしてくれましたね。湿度の違いでしたっけ。あの日の補習の内容は覚えていませんが、先生の無駄話だけは無駄に覚えてしまっています。きっと先生のことが好きだから変に覚えちゃうんだと思います。
それから前回の小論文模試の返却の時、論文と感想文は違うものですよ、って、私に教えてくださった後に、あなたは詩人に向いていますね、と笑ってくれた先生のことが大好きです。
これから先、長い長い月日をかけて、先生の目の前をたくさんの女子高生が通りすぎていくと思います。その間に私は学校を卒業して、どんどん歳を重ねてゆきます。それでも先生の頭の中には、いつまでも高校生の私が残るんでしょうか。
さて、残りの行数も少ないので、そろそろ私のラブレターはおしまいです。いかがでしたか?
前に先生、「どんなに論理が破綻してても、最期の行まで埋めていれば10点はあげますよ」って甘っちょろいことを言ってましたね。だからせめて10点ください。よければもっとください。私のこと、彼女にしてくれるなら100点ください。はなまる付きで。
拝啓の2文字から始まって、かしこで締める女性が好きだと、新任式で先生が仰っていたのでそのように締めさせていただきます。全体的に日本語がおかしくてごめんなさい。お誕生日おめでとうございます。 かしこ
1月10日 みょうじなまえ
武田一鉄様
追伸
もしよかったらお返事ください。これで最後の行まで埋まりましたよ!
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おしまい