第5章 たまには後ろを振り返ろう
『これでいいかな?両親のこと、私の帰りを待ってる人がいないこと、私が帰りたくないってこと、全部説明がついたよね』
銀時「ああ」
全てを話したさくらは困ったように笑って見せる。
その笑顔は今にも消えそうなほど儚げで…
綺麗だった。
銀時「けどお前、元いた世界に戻りたいとは思わなかったのか?」
『最初ここに来たときは思ったよ。でも今は…分からない』
銀時「そうか」
会話が止まり、また嫌な静寂が流れる。
銀時「まあ、」
『?』
銀時「てめーが此処にいたいならそうすりゃいいさ。毎食卵かけられご飯よりは何倍もマシだ」
結局、いつもの様に悪態をつくしか能のない自分を軽く恨む。
それでも
『それは美味しかったって意味でとっていいの?』
クスクスと笑いながら俺を見つめるさくらを見て少し安心した。
銀時「ああ、美味かった。家に帰ってくんのが楽しみになるぜ」
『いっつも家にいるくせに?』
銀時「バカお前ェたまーにある仕事の方が有り難みが増すってもんだろ」
『はいはい』
それから神楽が戻ってくるまでの間、俺たちは2人で他愛もない話を続けた。