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[銀魂]恋は幻[R15]

第2章 町に風が吹く


親は利き酒、子は清水。

不思議な不思議な泉の水を、
飲めば元気が出るそうな。

神の恵みか。
精霊の悪戯か。
こわしみず。


『え……何それ』

母の仏壇にお線香をあげていた私は、怪訝そうな顔で後ろを振り返った。

父の転勤による引越しを終えたばかりの我が家はダンボールで溢れ返っている。

そのひとつに腰をかけているのは今年17歳になる私の弟だ。

「こわしみず」

『は……?』

「ここら辺に伝わる伝承。さっき親父と転校の手続きしに行った時に図書室で見つけたんだ」

子供の頃から伝承だの伝説だの、ミステリー的な代物を好む弟は嬉々として一冊の本を開いてみせた。

対する私はそんな話にこれっぽっちも興味がない訳で。
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