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るろうに剣心【東京編】

第11章 言えない言葉




そのあと、男性三人は疲れが押し寄せて来たのか
それぞれの部屋でお昼寝

いつもは浅い眠りの緋村さんも
今回ばかりは深い眠りへと堕ちている
私が彼の部屋に入っても、彼は規則正しい寝息を立てていた

私がここに来たのに理由はないが
ただ、彼の様子が見たかった

いつもいつも薫さんたちを守るために
この人は深い傷を負っている
今回だって、恵さんを助けるためにひどい傷を作ってきた
よく見れば、古い傷跡もあって幕末時代につけられたものなんだろうって察しが行く
今も昔も、彼は傷ばかり負っている

緋村さんは以前、恵さんに言った
三年間も苦しみ続けたのだから、許されてもいい頃だと
でもそれは、彼自身にも言えることではないだろうか

新時代を拓くために何人も斬り殺してきた
でも彼は、そのあと流浪人として十年間、いろんな人を救いそしてきっと傷ついてきた
もうろそろ許されてもいいはずだ
剣を捨て、幸せを掴んでもいいはずだ
これ以上、後ろ指を指されなくてもいいはずだ

彼の寝顔を見ていると、自然とそんな風に考えてしまう
こんなこと、本人は言えない
言ったとして、彼は剣を捨てることはないだろう
自分が死ぬ瞬間まで、誰かのために
剣を振るい続けることだろう
この人は、そういう人だから

「…ん、真愛殿?」

目を覚ました緋村さん
私はあわてて頭を下げた

『お、起こしてしまってすいません……』
「いや、気にしなくてもよいでござるよ。それより拙者に何か用があるのでは?」


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