第8章 闇の中まで届くように
゛私゛が弱い…。
゛私゛は、鬼姫という力に負けたんだ。
《そのわたしというのはだれ?
あなたのいうおにひめとはだれ?》
だれ?
周りをみても暗くて誰もいない。
《あなたのいうわたしって?
あなたのいうおにひめって?》
あなたは、だれ?
《わたしはあなた。
あなたはわたし。》
あなたはわたし
わたしはあなた…
《生まれる前から秘める力。
逃げても逃げても逃げられない。
なぜだかわかる?》
なぜ……
そんなことがわかっていたら、
みんなを傷つけることはなかったよ
《それがわたしだから。
まだわたしは傷つけていない。
でも…これからはわからない。
わたしがこの力を受け入れなければ、
わたしがわたしを受け入れなければ、
わたしの力が大好きな人たちを殺してしまう。》
わたしは…傷つけていない?
《わたしはわたしだから、力もわたし自身。
逃げちゃいけない。
逃げてたら…また大事なものを失ってしまう。
そんなのはもう…いやだ。》
そのとき声の主が姿を露にする
《あなたはわたし。
わたしはあなた。
わたしは…》
そうか、わかった。
わたしは受け入れてなかったんだ。
私の存在がだめなんだとおもってた。
でもちがう。この私自身の存在で、
助けることだってできるんだ。
それを怖がった私は、
私自身に負けてたんだ。
《わたしは…「わたしだ。」》
ありがとう。
わたし。
やっと見えたよ。
紫に輝く小さな光がわたしを呼んでいる。
「あれは……」