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【黒バス】透明な君に恋してる

第10章 月のない夜



「南雲さん」

「ん……?」

「怖いなら、隣に座ったらいいんじゃないですか」

「そう……だね」


 黒子の隣に腰を下ろす。空を見上げても、星さえ見えない。曇り空か……これで月でも見えていれば、まだよかったのに。

 ふと、黒子の手が私の手をぎゅっと握った。


「一人じゃありません。大丈夫ですよ」

「うん……」


 ホラー映画だって見れる、そんなに怖いのが特別苦手ってわけじゃない。でも映画と現実は違うんだから。


「南雲さんってこういう時は大人しくなるんですね」

「どういう意味? 真っ黒子」

「僕が黒いのは、南雲さんにだけです」

「……あっそ。っていじめか!」


 繋いだ手から、体温が分けられて一人じゃないんだなって実感できる。怖いのだって、きっとこの手があるから大丈夫。


「南雲さんには、大切な人はいますか?」

「ん? 大切な人か……どうかな? いないかも」

「紫原君のこと、どう思っていますか」

「え!? あ、敦君!? えっと……どうなんだろう。ちょっとわからないかも」


 なんでもない顔をして、そう微笑めばそれが気に食わないのか納得できないことがあるのか、黒子は小さく「そういうの、嫌です」とだけ呟いた。

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