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遺書 今日だけのさようなら

第4章 4枚目




あれから私は小さな喫茶店に連れて行ってもらった。
そこで飲んだクリームソーダの味は今でもまだうっすらと覚えています。


"冷たかった"



そこであなたはそう言ったのです。

「え?」
「……周りに流されて、辿り着いた場所。」



話を聞くと、あなたも私と同じ高校生だったことを知りました。
周りの真似ばかりして、高校に行き、友達や恋人も作って
でもそこは冷たかったと。

「だから今日からもう、学校に行かないつもりだった。」
「行かなきゃだめだよ!」

突拍子にそんな言葉がでました。

きっとその時の私にはわからなかったのでしょう。
友達も恋人もいて、それなのに学校に行きたくない理由が。


「何も知らないくせに。」
「…ごめん。」
「魅子ちゃんは?どうして学校が嫌になったの?」

「私…」


その時少しだけ声がつまりましたが、
ピッタリ4時を指した店の時計が鳴り始めたので、
それを聞いてから漸く話し始めることができました。


「私、いじめられてるから。高校生にもなって。笑えるでしょ。」

卑屈な私を見つめて、あなたは表情一つ変えずにこう言った。

「…それはね、周りが幼いだけかも。要は、周りが魅子ちゃんに合ってないんじゃないかな。」
「?」

私に同情すらしなくて、それが嬉しかった。

そして一つの提案をしたのです。
覚えていますか?



『一緒に逃げよう。』


あなたはこの冷たい世界から。
私はこの合わない世界から。





大人になっても、周りに流されることなく私達は

二人だけの世界に閉じこもったままでした。

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