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〜Mint Candy Story〜

第2章 -百合-(氷室辰也)★


-氷室side-



ゆりな
「ウ…ウソつきは…辰也くんだもん。」



…?


ゆりなから出たことばは、
オレにとって予想外でしかなかった。

ゆりなにウソなどついていない。


氷室
「どういうこと?」


ゆりな
「花の名前…」


氷室
「ん…?」



ゆりなは泣きそうな声で話し始めた。



ゆりな
「”百合”が好きって…
学校のコだったんでしょ?
なんで…そんなウソつくの…?」


氷室
「学校のコ?なんのこと?」


ゆりな
「さっき…陽泉の女のコたちが…
”百合”っていうコがいて…その…」



なんとなくわかった。
ゆりなはそのコの気持ちを
勝手に言うわけにもいかず、
ごまかしていた。



氷室
「ゆりな、違うよ。
たしかにクラスに
”百合子”という名前のコはいる。
でも、ただのクラスメイトだ。

もしオレに
好意を寄せてくれていたとしても、
オレにとっては
それ以上でも以下でもない。」


ゆりな
「ウソ…?」


氷室
「ウソじゃないよ。
あ…でも、1つウソというか
黙ってたことはあるかな。

こんなことになるなら、
最初から言っておけばよかった。」


ゆりな
「なぁに?」


ゆりなは不安そうにオレを見つめる。


氷室
「好きな花が百合なのは本当。
でも、ゆりなを助けた時は、
初恋の人の名前が思い浮かんだんだ。」


ゆりな
「初…恋…?」


氷室
「あぁ。
幼稚園の…百合先生。」


ゆりな
「先生?」


氷室
「そうだよ。
さすがに恥ずかしくて、
あの時は言わなかったんだ。

あのコは関係ない。」


ゆりな
「わたし…てっきり…。」


氷室
「とても優しくて綺麗で…
名前通り百合の花が
ピッタリな先生だった。

ゆりなと同じだね。
偶然助けた女のコも
百合の花のような女のコだ。」


ゆりな
「辰也くん?」


氷室
「ゆりなはヤキモチ妬きなの?」


ゆりな
「ちが……そうなの…かも。」



…チュ。




ゆりな
「…辰也くんっ⁈」


ゆりなは真っ赤になっていた。


氷室
「正直なゆりなにご褒美だよ。」




オレはゆりなの名前の由来、
”純潔”を
奪ってしまったのかもしれない。



氷室
「好きだよ。」



オレはゆりなの耳元で小さく囁いて
もう一度キスをした。






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