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〜Mint Candy Story〜

第2章 -百合-(氷室辰也)★


-ゆりなside-



紫原
「ねーねー、それ、なーにー?」


ゆりな
「きゃっ。む…紫原くん⁈
あの…えっと…。」


皆においもの蒸しケーキを
配っていると、
突然大きな壁が後ろにできて、
陽泉の紫原くんが立っていた。



皆、紫原くんを見ている。
正確には”見上げて”いる。




紫原くんは皆の視線は気にも止めず、
ジーッとわたしの手元を見ていた。



運動後は、体が甘いものをほしがるし、
疲れを取るのにも甘いものはいい。
色々調べて特にイモ類やパンには
糖質が多く含まれているので、
試合のときには、
食べやすい大きさの蒸しケーキを
いつも作ってきていた。



ゆりな
「あ…これは…えっと…
おいもの…蒸しケーキなんだけど…。」



ほ、ほしいのかな…。
視線が半端ない…。


ゆりな
「えっと…よかったら、どうぞ?」


紫原
「いーの?やったーー!」


普通の大きさのはずなのに、
紫原くんが持つと、
蒸しケーキも小さく見えた。


紫原
「んまーい!
これ、あんたが作ったの?」


ゆりな
「え?うん。」


香山
「お前、後半出てねーんだから、
必要ねーだろーが。」


香山先輩が呆れたように
紫原くんに言う。


紫原
「いや、あんたの相手すんの
案外疲れるんだよねー。」


香山
「…っ⁈」


紫原
「さすが、室ち…」


氷室
「アツシっ!なにやってるんだ?
ゆりな、すまないね。」



辰也くん……。



ゆりな
「ううん。たくさん作ったから。

あ、紫原くん、よかったら、
ウチの皆にはもう渡ってるから、
全員分はないけど、
これ、陽泉の皆で食べて。」


わたしは辰也くんの目を見れなかった。
辰也くんを避けて、
紫原くんに蒸しケーキを渡し、
そのままベンチの片付けを始めた。


氷室
「…⁉︎ゆりな!」


辰也くんに名前を呼ばれた気がした。


あれ…目が霞む…。



氷室
「ゆりなっ‼︎‼︎」



もう一度辰也くんに
名前を呼ばれたような気がした。



百合…でしょ?
ゆりなって呼ばないで…
勘違いしちゃうよ…
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