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〜Mint Candy Story〜

第2章 -百合-(氷室辰也)★


「あ…あの…
ありがとうございました。」


わたしは恥ずかしくなり、
スッと彼から手を放した。


「いいえ。どういたしまして。
でもね、怖い人のほうが多いから。
あのサラリーマンはうるさかったけど、
キミは女のコなんだし、
あんなに食ってかかるのは
あまり感心しないな。」



…っ!!





「女のコはマナー違反を
注意しちゃいけないんですか?」


せっかく助けてくれたけど、
ちょっと偏見というか…
お説教みたいなことを言われて、
ムッとした。



「そういうわけじゃないよ?
今回はオレが助けたけど、
もしあのサラリーマンが
キミに暴力を振るってきたら、
キミは力がかなわないだろ?
何かあってからじゃ遅い。
間違ったコトを正すコト自体は
間違っていないが、
1番にキミ自身のコトを考えないと。」


わたしがムッとして言い返したのに、
彼はそれを気にも止めず、
嫌な顔ひとつせず、ニコッとしていた。


「は…い。」



そんな笑顔を見せられてしまうと、
思わず素直に返事をしてしまう。



調子くるうなぁ。



「怪我はしてないみたいだね。」


…っ⁈


彼は自然な動きで、
わたしの頬を撫でて
優しい目でわたしを見つめていた。


「だ、大丈夫ですっ。」


慌てて離れると、
彼はクスクス笑っていた。



か…からかわれてる…?




「あ、あの…改めて…
ありがとうございました。
本当に助かりました。
わたし、秋田東高校の
霧島ゆりなって言います。
あの…失礼ですけど…
そのジャージ陽泉のバスケ部ですよね?
もしかして…氷室辰也…さん…ですか?」



こんなキレイな人知らないけど、
どこかで見たことある…
そんな気がしていたのは、
ウィンターカップの陽泉の試合を
東京で観たからだった。

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