第8章 痛いのがお好き/兵長,ジャン
言ってしまった。
不味いことをした。
月並みに後悔はしたが、時既に遅し。
俺の台詞が終わるか終わらないかの内に、兵長はさんから身体を離して俺に歩み寄ってくる。
殴られる……!
そう思って強く目を閉じたが、兵長が繰り出したのは右ストレートでもアッパーカットでもなくて。
「ひゃう……?!!」
自分でも驚くほど気味の悪い声が出て、ようやく俺は兵長に股間を踏み付けられている事に気付いた。
「口では生意気を言ってるが……ジャン、こっちのお前は随分と素直なようだな」
爪先をグリグリと動かされるとジーンズの中で陰茎が苦しげな熱を持つ。
やめて下さい!
そう叫びたいのに、艶かしい肌を露わにしてこちらを見るさんと目が合った瞬間……俺は何も言えなくなってしまった。