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イケメン王宮◆ユーリ×プリンセスの物語【R18あり】

第4章 放心


ユーリは、
サラのいるベッドに駆け寄ろうとして、
はたと脚を止める。


ベッドの上にあるのは
愛しい女性のあられもない姿。
その肌には
先ほどの男が付けたであろう紅い跡が
至る所に散りばめられている。


サラは顔を真っ赤にし、
視線を逸らして泣いていた。


ユーリは怒りで全身が粟立つ。
侯爵を追いかけ報復してやりたい衝動。


しかしそれ以上に、
目の前で傷付いて泣いている
愛しいサラを放っておくことなど
出来るわけがなかった。


ユーリは自分の上着を脱いで、
そっとサラにかけてやった。


ふわり…


ユーリの香りがサラを包む。


ユーリは、
なるべく見ないように気遣いながら、
ドレスの裾を整え、
短剣で鎖を切った。


いつも花のように笑い、
くるくると良く表情の変わるサラが
小刻みに震えて、声を堪えて泣いている。


ユーリはサラを座らせると、
そっと抱き寄せようとした。


するとサラは、
びくっとして身を捩り
怯えた表情でユーリを見た。


「サラ様…」


「あっ……ご…ごめん…なさい……」


サラは
消え入りそうにそう言って
目を逸らす。


ユーリはもう一度手を伸ばし
今度はいつものように
サラの頬に触れようとした。


サラは
ぎゅっと目を瞑り
身体をふるふると震わせた。


サラの様子から何かを悟ったユーリは
伸ばしかけた手をぎゅっと握って
そのまま下ろした。


ユーリはただ黙って
切なげにサラを見つめた。


静寂が支配する。


徐々に夕陽が落ち
夜の帳が
二人を包み隠そうとしていた・・・・・。
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