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田中夢を更新しました。

それから、及川夢のバタフライ〜を一旦下げています。
ガッツリ手直しして、最終回まで持って行く予定です。
なんてマイペースなんだ。すみません。


以下SS
&伊達工業

 喫茶店、マイルド。

 それは私がアルバイトをさせてもらっている店で、店内は間接照明による優しい光で満たされている。

 私はこのお店が大好きで、私を雇ってくれているマスターも大好き。

 ただ少し奇妙なことに、このオシャレな喫茶店のメニューにはサンドウィッチやコーヒー、ケーキといったこれぞ喫茶店! という品が名を連ねる中で時折「カツカレー」や「コーラ」、「大盛りポテトフライ」のようなものが見受けられる。


 ――そう、この喫茶店は近くにある工業高校の生徒大半が通学路としている通りに面しているのだ。

 気のいいマスターは男子高校生達に気が狂ってるんじゃないかと思うような量の米を与える。

 今では素敵なマダムよりも元気いっぱい汗水いっぱいの高校生の方が主要なお客様。

 特に、強豪と噂のバレー部は毎日のようにここに寄って行く。

 カランカラン、と入り口の鐘が鳴ったから、私は花も恥じらう営業スマイルを振りまいた。

 しかしその鐘の音は一度で鳴り止むことなく、カランコロンカランコロンカランコロンと何度でも響く。これじゃあお洒落というより何か祭りでも始まるみたいだ。

「マスターッ! ビール一丁!」

 元気よくマスターに話しかけたのは(悔しいことに)顔立ちの整った長身の男の子。

 マスターはニコニコ笑って「こどもビールでいいかい?」と奥に引っ込んだ。
 彼があまりにもリクエストするもんだから、喫茶店マイルドのメニュー表には「こどもビール」の文字も並んでいる。ダサい。

 彼の後ろからのっそりと付いてきたのはバレー部一番の長身で、眉毛がない。
 私にぺこりと頭を下げると、いつもの席に大きな体を窮屈そうにしまった。
 彼はすこぶる強面だが、とても優しい人なのだ。

 そして最後に入ってきたのは、わたわたと動く「部長さん」茂庭だ。

「二口! またお店の人に迷惑かけてないだろうな」

 二口と呼ばれた(悔しいけど)イケメンな彼は、唇を尖らして「心外です!」と言った。
 やいやいと彼に文句をつける部長さんに、指で耳をふさいでいる。

 やっぱりこの喫茶店は良いところだなと今日も思うのだ。

fin.
[作成日]2015-01-18

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