前回の続きです。
やっぱ長いな。3~4回くらいに分かれるかも。
「学生もそれではしゃいでいるのを見たが、実にくだらないな。あんなものただの吊り橋効果だ」
「吊り橋効果?」
オウム返しで聞き返せば、湯川は深く頷いた。
「君もこれくらいなら知っているだろう。吊り橋を渡る恐怖心からくるドキドキを、恋と錯覚するあれさ」
「それは知ってるけど…」
説明を聞いたところで首を傾げてしまう。それとこれとでどう関係があるんだろうか。
自分が話を理解していないと分かったのか、湯川は呆れたようにかぶりを振り口を開いた。
「つまり、僕が言いたいのは…」
そこまで言って突然言葉を切ったかと思うと、意味ありげに笑みを浮かべてくる。
「いや、実験してみた方が早いかもしれないな」
「え、実験?」
「ちょっとそこに立ってみてくれ。ほら早く」
異見を唱える暇も与えられないまま急かされるように壁を背に立たされた。
湯川が自分の前に立ち満足げに頷いた。まさかと思い口を開こうとすると、湯川の右腕が自分のすぐ横をドンと音を立て叩く。
驚きで息を呑む。それを余所に湯川が顔を近付けてくる。整った顔が息がかかる程に近付き、思わず目を閉じた。
日記へのコメント
まだコメントはありません
http://dream-novel.jp