12月30日(水曜日) 6:30
差出人:Xhobbygames@jp.com
宛先:nogamenolife-otoshigami@co.jp
題名:新ゲーム案について。
本文:
落とし神様へ。
もう数日もすれば、年が明けて新年を迎えようとしています。今年も弊社の乙女ゲームをご利用頂きありがとうございます。来年も引き続きよろしくお願い申し上げます。
さて、ただいま弊社では新ゲームを作成しています。そこで是非落とし神様より何かリクエストがありましたら教えて頂きたく思います。何かアイデアがありましたら返信をよろしくお願い申し上げます。
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12月30日(水)
受信ボックスを開くとその他数十社から同じようなメールが届いていた。
リクエストと言われてもな…
とりあえず、ゲームに向き直る。
-ねえねえ!次どこ行く?-
ーA、ジェットコースター B、コーヒーカップ
今回の彼女〈ヒロイン〉はアクティブ系女子。普通に考えればジェットコースターだろう。しかし、裏をかいてコーヒーカップか…
今までの流れ、ヒロインの好み、行動パターン、ログイン状況…その他すべてのことを配慮して計算すると…
Aの正解率78、9%、Bの正解率56、3%。
よってAが正解である確率は高い…
「ふっ…愚問だな。」
僕は、迷わずBを選択。
チャラリン♪
-実はずっとこういうの乗ってみたかったんだ!でもらしくないって思われちゃうから…気付いてくれてありがとう😊-
好感度100up。よしっ。正解だな。
ん?何故Bにしたかったって?
確かにAの方が正解率は高かった。しかし、それでも79%。足りない。それでは足りないのだ。そしてこの会社のゲームは他者とは少し違うオプションがある。それは意外性ドッキリだ。このゲームは((ry
つまり数々のゲームを攻略した僕だからこそ得られる勝利なのだ!
「ふふ…ははは…わははははははは!」
ドタドタドタドタドタ…
や、やばい。この足音は…
来る!
「にーさまーーーーー!神にぃーさまぁーーーーー!」
「エルシー‼︎来るな‼︎」
「にーさま?朝ですよぉ?早く起きてください!」
「やめろ!入ってくるな!」
僕は必死にドアノブを抑える。
「もー!いい加減にしてください!」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
スドォーン…
ドアが破壊された。
「にーさまっ!朝ごはんの時間ですよ〜?」
オレはうな垂れた。
「反則だろう…なんだよ破壊って…いくら元気系ヒロインでも破壊なんて…ハグ以外の何物でもない…」
「どーしたんですか?」
「うるさい…もうどっかいけ。」
「えー⁉︎かみさまひどいです。・゜・(ノД`)・゜・。」
デスクに戻ってコントローラーを手に取る。
って…
「あ"ぁぁぁぁぁああぁぁああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
消えてる…
エルシーが扉を破壊した時に一緒に壊れたのだろう…僕の…くるみちゃんがぁ…
「どうしてくれる。」
「今日はお蕎麦ですよ〜!年越しそばには少し早いですけど。」
「うるさい!僕にとっちゃ年末年始はネット回線が混雑するからイベントに参加し難い最悪なイベントなんだよ!」
「えー⁉︎お正月楽しいじゃないですかぁ〜こたつでみかん食べてゴロゴロして…」
「うるさい!出て行け!」
エルシーを押し出す。
まったく…
7:00。12/29の31:00か…
⁉︎
イベント!
「くそっ!どうするんだ!これで受け取れなければ僕は!」
ピロリン
-受信しました-
「ふぅ…よかった…」
この世界は理不尽だ。僕らのような存在を否定する。除外する。
こんな世界で僕が生きていけるのは、ディスプレイの中で僕らゲーマーに落とされるためだけに存在する、たくさんの彼女〈ヒロイン〉のおかげだ。こんな僕が求めるゲームは…
メールボックスを開く。
一斉送信を設定する。
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12月30日(水曜日)
差出人:nogamenolife-otoshigami@co.jp
宛先:一斉送信
題名:ご苦労様です。
本文:
各ゲーム会社の皆さん、いつも素晴らしいゲームを生み出してくれてありがとうございます。
僕から皆さんへのリクエストはたった1つです。
楽しいゲームを作ってください。
落とし神。
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この世界の未来がどうなるかなんて僕には分からない。
ただ僕が言えることは、
こんな僕でも存在する。
ディスプレイの中の彼女〈ヒロイン〉たちも確かに存在すること。
それだけは間違いない。
僕は無事なディスプレイの中の1つを見つめて言った。
「エンディングが…見えた。」
僕に落とせないヒロインは居ない。
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