大変遅くなりましたがコメント欄にてお返事させて頂きました!
チョコ夢はまだ未完です。ラストスパートかけてきます……!
スペース余ったので、行き場のない短文さらします。
幼馴染み引きこもりオタクヒロインと世話焼き岩ちゃん。
「起きろ!」
勢いよく開かれた扉の音と、怒鳴り声に意識が浮上する。
涎を垂らしていた顔を布団の中に引っ込めて、布団の四隅を手足を駆使して内側に巻き込んだ。
「部屋どころか布団にまで引きこもるな!さっさと着替えろ!学校行くぞ」
「熟睡なう」
「本当に寝てるやつは寝てること主張しねーよ。引き摺ってでも連れてくからな」
「学校なら毎日行ってまーす」
「てめーが三日連続で休んでる青葉城西高校という名の、画面越しじゃねぇ学校にだよ!」
ぐいぐい引っ張られる布団を必死で押さえる。
しかし、相手は強豪運動部レギュラーの男子高校生。しがない引きこもりの私の力とは、比べるまでもない。
抵抗空しく、問答無用で布団をひっぺがされて、そのままベッドからコロリと落ちる。
「や、止めろ!光を浴びると私は灰に……っ!ぐわぁぁっ!」
分厚いカーテンの向こうから射す、朝の爽やかな光を顔面にもろに浴びてしまい、ごろんごろんと床をのたうち回る。
「ブルーライトにでも焼かれてろ。ネットジャンキーが」
酷く冷めた目で言い捨てるのは、幼馴染みの一ちゃん。
口は悪いけれど、毎朝引きこもりの私を部屋から引きずり出そうとする、甲斐甲斐しい性格の持ち主だ。私にとってはありがた迷惑でしかないけれど。
「及川から伝言だ。『あんまりお家に引きこもって動かないでいると、ぶくぶくになっちゃうよ』だと」
「喧しいわイケメンリア充め!あの美少女転校生にフラれる呪いかけちゃる」
「もうとっくにフラれてっけどな」
「なんと……!」
私が某世界を救ったり、モンスターを狩ったり、はたまた育成しているいる内に、世間は目まぐるしく様相を変えていたらしい。
女たらしクソ野郎の徹ちゃんには珍しいほどベタ惚れだったのに。
俗世間との時間の流れの差に仰天していると、寝癖頭を叩かれた。
「いったい!親父にもぶたれたことないのに!」
「うるせぇ!つーか、いい加減着替えろ!」
「だが断る!私は悠々自適な二次元ライフを所望する!」
「少しは現実を見ろ!主に出席日数を!!」
「……だって学校行ってもつまんないし」
「友達作りゃいいだろ」
「作れたら引きこもりなんぞになってない」
一ちゃんの言うことは最もだし、このままじゃいけないってこともわかってる。
友達だって、ほしくないわけじゃない。
……でも、怖い。
仮に友達を作っても、私はその子を信用しきれない。
何でも話せる仲の良い友達のふりをして、「一生の友達だね」なんて言い合って。そのくせ、いざ立場が危うくなれば、あっさり見捨てて虐げる側へ寝返る。
現実の人間関係なんて、所詮はそんなもの。
信じたって、馬鹿を見て傷付くのは自分自身。
だったら私は二次元が良い。
二次元なら、現実では有り得ないことも、当たり前のように存在する。
例え命の危険にさらされたって決して裏切らない、硬い絆で結ばれた一生もの友達だって。
「二次元は、私のこと裏切ったりしないもん……」
「……はぁ…」
ため息が聞こえて、身を固くした。
……流石に呆れられた?嫌われた?
「なら、俺が学校でも一緒に居てやる」
びくびくと反応を待つ私に、一ちゃんはぶっきらぼうにそう言った。
「……嘘だ」
「嘘じゃねぇ」
「だって、そんなことしたら、一ちゃんまで色々言われる。絶対途中で嫌になって離れるもん」
「俺は周りの目なんて気にしねーし、離れねーよ」
「嘘。だって……」
「ごちゃごちゃうるせぇ」
「いった!?」
不意打ちのデコピンに、涙目で睨もうとして、一ちゃんのびっくりするくらい真剣な顔が近くにあったことに気付く。
心臓が不自然に大きく跳ねた。
「俺はぜってー裏切らないし、誰がなんと言おうと一緒に居てやる」
心を砕いた真摯な言葉。
だけど、やっぱり私はそれを完全に信じることは出来ないのだ。
裏切られるのが、怖いから。
……けれど、一ちゃんなら。
昔から、引っ込み思案な私の手を引いてくれて、いつでも私の傍に居てくれた一ちゃんなら。
学校に行くのは、やっぱり怖い。
でも、ちょっとだけ。
ちょっとだけ、勇気を出してみようかな。
差し出された手は昔よりずっとしっかりしていて、でも変わらない暖かさにほっとした。
「……あー、やっぱ太陽むりだわ。一ちゃん、明日にしよう」
「おい待てやコラ」
日記へのコメント
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