バレンタインまであと2週間。
メインにするはずの照島夢が仕上がっていないと言う危機的状況。
ひっひっふぅぅぅぅ。
「髪色の明るいキャラ × 手」/菅原孝支(クラスメイト)
「・・ねぇ、そんなに見つめられるとさすがに照れるんだけど・・」
放課後、学級日誌を書く菅原を私はじっと見つめていた。
「菅原の髪の毛って明るくて、ふわふわしてて、本当可愛いよね」
「そう?」
菅原はそう言って、自分の髪の毛をくしゃっと触った。
「目もクリクリしてて、ほくろもセクシーだし、私なんかよりずっと女の子みたい!」
私がそう言うと、菅原は少しムッとして持っていたペンを机に置いた。
「男子に可愛いとか、女の子みたいとか失礼だぞ!ほら、俺だって男なんだからな!」
そう言って私に手のひらを見せてきた。
手を合わせてみろと言わんばかりに、ん゛っ!と差し出すので、私はそっと手を合わせた。
「ほら、俺の方が大きいべ?」
ドヤ顔でそう言う菅原。そんなことでムキになる所も可愛い。
確かに私の手よりも大きくて、指も太くてゴツゴツしている。
ボーっと重なり合う手を眺めていると、急に菅原は指を織り曲げた。
「・・手を合わせて急にぎゅっと握られると、ドキッとするらしい。・・した?」
したべ?とニカっと笑う菅原。
やっぱり私なんかよりずっとずっと・・可愛い。
「貴女の一推しメンズ × 頬」/澤村大地(彼氏)
「おはよ・・」
目をこすりながら起きてきた大地。私はキッチンでコーヒーを淹れながら、おはよ。と返す。
「俺もコーヒー飲みたい」
大地はキッチンに来て、私を後ろからぎゅっと抱きしめる。そして、私の肩の顔を埋める。
「くすぐったいよ、大地」
「んー、もうちょっと・・」
いつもはしっかり者の彼も朝はちょっぴり苦手。
私はお揃いのマグカップにコーヒーを注ぐ。
一緒に住み始めて初めて買ったカップは随分古くなっているが、なんとなく捨てられずにいた。
大地は私の肩からおでこを外して今度は顎を置き、マグカップに手を伸ばした。
「ちょっ!大地、痛い!ヒゲがチクチクする!!」
「ん?」
大地は一度顎を外して右手で自分のヒゲを触った。
私が嫌そうな顔で大地を見上げると、大地はニカっと笑う。
嫌な予感がする。
そう思って逃げようとした時にはもう彼の腕の中。
「うりうり~~」
そう言って、大地の頬を私の頬にこすり付けた。
「痛い!痛いよ~!もう、はーなーしーてー!」
「アハハハハ」
これから先もずっと、彼の腕の中でとっても甘い痛みを感じていたい。
「最近気になってる彼 × 唇」/東峰旭(好きな人)
「東峰せんぱーーーーい!」
私は廊下で大好きな東峰先輩を見つけて追いかけた。
東峰先輩が振り返ると同時に私は先輩の胴体にガシっと抱きつく。
「わぁぁ!ちょっ!」
あわあわと行き場のない両腕を私に触れないように顔前に持っていく。
私は東峰先輩を見上げて、困った顔を眺めて笑う。
「東峰~、何?彼女?」
そう友達にからかわれ、焦って違う違う!と首を振る。
「可愛い後輩だよ・・」
否定されたことはショックだけど、私を「可愛い」後輩だと紹介してくれた事は大変嬉しく思う。
東峰先輩は絶対に人を傷つけない。
おっきな身体で、顔だって知らない人から見たら怖い人。
けど、本当は誰よりも優しくて暖かい人。
私はぎゅっと先輩に抱きついて先輩のセーターの匂いを嗅ぐ。
「ねぇ、東峰先輩・・?」
「ん?何?」
“東峰先輩の彼女になってあげてもいいですよ?”
もし私がそう言ったら、きっと困った顔で後頭部に手を添えるんだ。
そして唇を動かす。
「・・何でもないです」
でも今はまだ、それを聞く勇気がないから、可愛い後輩のままでいるね。
いつか東峰先輩の唇が私に向かって「スキ」と動いてくれるその日まで。
ありがとうございました。
みゆ
日記へのコメント
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