先日、小6の弟の運動会がありました
本来の運動会は先週の土曜日でしたが、台風の影響の為平日に行われる事になり、短縮プログラムで半日のみの開催になりました
自分は母と共に、養護学校に通う小3の弟を送り出してから見に行ったので、学校に到着した時には6年生のかけっこは既に終わっていました
一通りの学年のかけっこが終了し、20分程休憩を挟み次に行われる競技は5.6年生合同の騎馬戦
「組体操ですらやらなくなっているこのご時世に、騎馬戦をやる学校も珍しいよね」と母と話していると、競技の前の応援合戦で赤組が終わり白組の応援が始まりました
「日本の国旗の周りの色はー?」
「白ー!」
「富士山のてっぺんの色はー?」
「白ー!」
「大空を優雅に駆け巡るあのペガサスの羽の色はー?」
「白ー!」
あぁ、これは『勝つのはどっちだ?』に対して『白』って答えるやつだな、なんて思っていると
「この勝負勝つのはどっちだー?」
「青ー!」「黄色ー!」「ピンクー!」「緑ー!」「紫ー!」
ちらほらと聞こえてくる白組の子供達の声
校庭はどっと笑いに包まれましたが、先生方は渋い顔…
そりゃそうだよな…
競技もその調子でふざけてると怪我するぞー?
と思いながら見ていると、「騎馬を組め」の合図でふっ、と表情が変わり、真剣そのものに
競技が始まると、圧倒的に白組が優勢でチームワークを駆使してどんどんと赤組の子達の帽子を取っていきます。
それに比べ、各々が自由奔放な赤組は、先生の指示も無視し、闇雲に白組の塊の中へ突っ込んでいき返り討ちに…(汗)
一回戦、帽子を取った数の勝負では勿論白組が勝利
落とされた帽子を回収して、いざ大将戦である二回戦へ
大将戦はそれぞれのチームの大将の帽子を取られた時点で即終了になるので、作戦次第で勝ち負けが即決してしまう事もあります
まず赤組は大将を囲むように一塊に
白組は大将を守るグループと囮になるグループと囮の後に続いて攻めるグループの3つの塊になり、暫くお互いにらみ合い
このままでは進展がないと焦った赤組の担当をしていた若い男の先生は、一騎の騎馬を囮にするために前に出るように指示
その瞬間、白組が一気に動き出します
囮グループは赤い塊の正面へ突入
赤組の大半がそちらに気をとられている間に、攻めるグループは一つ孤立した赤組の囮に総攻撃
即帽子を取られてしまった事に動揺した赤組の子達は、先生や大将の制止も聞かずに、白い騎馬達に向かっていき、一回戦同様返り討ちに…
ここで殆どの騎馬を失った赤組の大将はその後、なす術もなく白組の総攻撃に遭い帽子をとられてしまいました
保護者様も少し呆れている様子で
「赤組の子達はダメねぇ」
と口々に囁き合っておられるのが耳に入って来ましたが帽子の回収の際、赤組の子達は拾った帽子をそのまま持ち主に渡すという心優しい一面を目の当たりにすることになり、今まで流れる気配すらなかった涙が溢れだしている保護者様が続出
自分の弟も赤組で、二回戦で囮になった騎馬のお馬さんをやっていましたが、目の前に落ちていた白組の子の帽子を拾い、持ち主に渡していました
正直、目を疑いました
普段は何でも人任せで、自分からは一歩も動かない弟が、人の物を拾い、それを持ち主の所まで届けているなんて…
家で見せている姿と外での行動のギャップに驚きを隠せない自分と母親
そしてそれ以上に、「あの子にも、人並みの優しさが備わっていたんだね」と、安心しました
その後、低中学年の競技が終了し、運動会のトリである5.6年生の組体操が始まりました
今まで流れていたBGMとは雰囲気が変わり、ピアノの伴奏が流れ出し、それと同時に子共達がグランドに入場
物凄く聞き覚えのある曲、何だっけ?
と耳を澄まし子共達をみていると、子共達の歌声がスピーカーから流れてきました。
『誰にも見せない涙があった』
ゆずの「栄光の架け橋」
しかも今、組体操をしている子共達が歌っている音源が流れています
後で聞いた話ですが、運動会の為に、5.6年生で練習をして録音した音源だそうです
普通なら、組体操は先生の笛の音を合図に進められると思うのですが、笛は一切吹かれる事無く、子共達の歌声だけが響きわたる中、静かに優雅に繰り広げられる技の数々
一番のサビに入ると、出来ない子が多いと聞いていた倒立が披露されました
歌に合わせて確実に全員が成功
そのまま最後のサビで3段ピラミッドや三重の棟を成功させ
『君の心へ続く架け橋へと』
で綺麗に礼をし組体操は終了
言葉では言い表せない美しさに心から感動し、これを子供達が一から作り上げたと考えると更に感情が昂り、涙が止まりませんでした
見た目はまだまだ小さくて子供の筈なのに、随分と大人になっていたのだな、と実感させられた運動会でした
日記へのコメント
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