最近、あるラッパーにハマってます。アニメのトリビュートソングを歌っている方なのですが、歌詞がポルトガル語(多分)なので分からない…
でも、エースの曲からインスパイアされた小説を書きました。
http://privatter.net/p/2394910
↑には小説と一緒に曲のリンクも貼ってあります。
カッコイイので、聞いてみてください♡♡
『遥かなる海の王へ…』
「お前はいったい、さっきから何を見ているんだよい」
船の甲板から水平線の遥か向こうを見つめているエースに、マルコが後ろから声をかけた。
いつからそうしているのかは分からないが、随分長いこと潮風にさらされているらしく、髪が少し乱れている。
「2番隊隊長とは、お前にとってそんなに荷が重い肩書きかよい?」
ずっと空席となっていた、白ひげ海賊団2番隊隊長の座。
そこにエースが就くことに、不平不満を口にする仲間は誰一人としていない。
何より、これはオヤジが決めたこと。
それ以上に納得のいく理由が他にあろうか。
1番隊隊長であるマルコを始め、白ひげ海賊団の船員は皆、エースが隊長として任命されたことを歓迎している。
しかし、当のエースはその祝福の宴から姿を消し、こうして海の向こうを見つめている。
「・・・なァ、マルコ・・・」
日焼けに日焼けを重ねた肌に刻んだ刺青は、「ASCE」と白ひげのシンボル。
「家族っていいもんだなァ」
「?」
「おれには兄弟がいるけどよ、大家族ってのは初めてだ」
初めは敵として現れた自分を・・・
マルコのようにオヤジの右腕にすらなれない未熟な自分を・・・
家族は信じてくれる。隊長として認めてくれる。
「けど・・・おれにオヤジの名を背負う資格があるのかどうか、わからねェ」
「どういう意味だよい?」
「だっておれは・・・ゴールド・ロジャーの息子だぞ・・・」
エースがそう呟くと、突然の高波に船が大きく揺れた。
それはまるで、彼の心の中を表しているようで。
マルコは小さく溜息をつくと、腰に手を当てて胸を張った。
「おれを見ろよい」
そこには心臓を大きく覆うように彫られた、白ひげのシンボル。
「誰かの名を背負うことに、資格なんかいらねェよい。背負うか背負わないかは、そいつの勝手だからな」
「・・・・・・・・・・・・」
「大事なのは、一度背負うと決めたなら、何があってもその名を穢さねェことだと、おれは思うよい」
マルコはエースの隣に立つと、同じように水平線の向こうを見つめながら目を細めた。
「おれもお前も“火”の能力を持つ」
全てを焼き尽くす、メラメラの実。
炎の中から蘇る、トリトリの実・モデル不死鳥
「おれのこともお前のことも、オヤジは“息子”と呼ぶ」
───おれの息子になれ!!!
エースを見て、目尻に小じわを作りながら微笑む、不死鳥。
「お前の“親”が“誰”だろうと、お前のオヤジはこの海でたった一人。それにおれは、お前が家族になってくれて本当に嬉しいよい」
「マルコ・・・」
「おれはオヤジの心臓を守る。お前はオヤジの背中を守れ」
1番隊隊長として、そして2番隊隊長として。
それぞれが白ひげのシンボルを抱く場所を。
エースはゆっくりと目をつぶると、首から下げていたテンガロンハットをかぶった。
「ありがとよ、マルコ」
船が進むのは、グランドラインの大海。
その先にいったい何があるのだろう。
「おれは海賊になりたいとガキの頃から思っていたが、海賊王を目指したことは一度もねェ。かつてその称号を手に入れた男を憎んでいたからだ」
「・・・・・・・・・・・・」
「だが、今は違う。おれは海賊王の称号を狙いにいく」
悪いな、ルフィ。
お前の夢を潰すことになりそうだ。
でもお前も海賊なら、それを奪いに来い。
「おれのためにじゃねェ・・・オヤジのために!!」
ゴール・D・ロジャーの最大のライバルであり、自分を“息子”と呼んでくれる恩人に、海の王者の称号を───
「・・・頼もしい限りだよい」
胸を張るエースに、マルコは微笑んだ。
その海賊王の称号こそ、白ひげがエースに与えたがっていることを隠して・・・
「そういやマルコ、さっきおれがどこを見ているかを聞いたな?」
「ああ」
「おれが見ている先はたった一つだ」
大海賊エドワード・ニューゲートが見つめる方向のみ。
白ひげ海賊団2番隊隊長、ポートガス・D・エース。
彼が見つめる先は果てしない。
ひとつなぎの大秘宝“ワンピース”か、それとも最果ての地“ラフテル”か。
今は分からないが、かならずオヤジをそこへ辿り着かせる。
エースの瞳にはもう、迷いが無かった。
Fin.
日記へのコメント
まだコメントはありません
http://dream-novel.jp