こうやって振り返るのも最後かぁ。
本当に、書く日々が終わるのね。
…ちょっと切なくなってる奥貫です。

ということで、
今日はクロの物語を振り返ります。
２ページになります。お許しください。


前にもお話した通り、
一番最初のノヤっさんを書いたときから
『最後はクロ。なぜなら私が好きだから』
…と決めていたクロ。

漠然と『獣医師』『プランナーちゃんと』
『最後はみんなが集まってくれて終わる』
ということだけは思っていました。

それから一年近い時間の間に
書くことに関する自分のスタイル、
そして書くことに関する喜びや苦労、
さらに、たくさんの方からの応援も…

そうやって経験値を積み、
やってきた、結びの物語。

書き始める前に一番考えたのは
"誰のために書くか"ということでした。

おそらく、
クロ待ちの皆さんはきっと、
キャプテンらしくてカッコいいクロを
待ってくださってる。

でも、私の中のクロは、別人なんです。

例えば、

大地さんは、その名の通り、地面のように
どっしりしてて動じない落ち着き。
…だけど、入部してからの２年間は
弱小チームで苦難もあったし、今でも
ヤンチャなメンバーに手を焼いたりしてる。

及川さんは、スポットライトの光。
彼自身がもちろん光の源なんだけど、
岩ちゃんや京賢ちゃんみたいに、
及川さんの目線の先にいる人も光る。
…でも、光の外側に見えない闇。
それは及川さんの裏側の、努力の顔。

木兎さんは、太陽。
彼自身が眩しくて暖かくて
みんなを平等に照らし、暖める。
…だけどダメな時はダメ。
それを堂々と宣言するし、仲間もみんな
それを受け入れてくれる。

そう考えた時に、
クロだけは、明らかに違って見えるのです。

明るいわけじゃないし、
どっしり動じないわけでもない。
ダメな姿や苦労する姿も見たことない。

クロは、例えるなら、実態がない、影。
つかめない。つかませない。
いつも『みんなが求める自分』でいることを
最優先にしてて、"彼自身"を人に見せない。

だけど、頼られるのは何故？

それはきっと、
世の中には"影"が必要だから。
光や明るさばかりでは、
多分、人は、疲れるから。
…世の中には、影も、必要。
ハイキューの中で唯一の？！
『喰えねぇキャラ』の役割は、影。

だから。
獣医師ネタを捨てた段階で、
二つのパターンを考えてました。

１つは『音駒みんなの結婚式を通して
プランナーちゃんと友達になり、
"あれ？残った独身同士、つきあう？"』
的な展開で、
プランナーちゃんとケンカしながら
少しづつ近づいていく話。
明るく、テンポも笑いもエロもあるような
"みんなのクロ"案。

で、もう１つが、
"私のクロ"案、だったんですね。

人に見せないクロの弱さや
優しさゆえの孤独を
最初から全開にして、そこから少しずつ
自分と向き合い、悩み、後悔しながら
優しさと強さを手にいれていくことで

クロが一番輝く、『誰かのため』の"誰か"
…家族を手にいれる…というストーリー。

どっちにするかギリギリまで迷ったのですが

『最後の物語を私らしく書ききって
それで読者様を納得させることが
最後に私がやるべきこと。』…と決めて、

"私のクロ"を書くことにしました。

その頃に決めてたシーンは

★夜景の見える部屋でフラれる場面。
★婚活パーティーに呼ばれ、モテモテ。
★夜の町でその夫婦と出会ってしまい
プランナーちゃんとウソのカップルの
ふりをすること。(でもこの段階では
どっちが言い出すかは決めてなかった。)
★夢主が突然かけてきた電話の向こうの音で
クロの最寄り駅だと気付き走って迎えに行く
★チャペルの扉を開いたら、みんながいる。

そんな場面を目印にして、
あとは、
クロ自身が気づいてない弱さや甘えを
湿った失恋の傷に託す。

少しずつ癒えていく失恋の痛みとは別に
前の彼女と別れた意味はことあるごとに
思い出しては考えて考えて、

そして、
"最後に選ぶのは、選ばれるのは一人。"
という、恋の最終形…結婚…を
初めて自分のこととして考え始める。

というクロのキャラを決めました。

クロについてはこんなに
考えて、考えて、考えた、というのに

夢主…プランナーちゃん…については
一切の考え、ナシで始めてるんです。
『それでも絶対、大丈夫』という
自信があったから。

何故だと思います？

それはね、
プランナーちゃんは、私自身、だからです。

頑固で恋愛ベタで仕事が好きで極端で
自分のことはどーでもいい干物女。

だから、設定する必要がなかった。
出てくる場面場面で
『私ならどうする？どうこたえる？』
それを文章にすればいい、と決めてたから。

…やっぱり、次のページ突入です。