…くどくど書いて、カッコ悪いなぁ、と
自分のダサさに失笑しつつ、二ページ目。

そんなわけで書き始めたクロの物語、

途中、何通か頂いたメッセに共通して
書かれていた言葉がありました。

『すごく、"普通"の物語ですね。』

普通、というのには
それぞれの方の感じかたが添えられていて
例えば

『電車で二人が隣の車両にいたり、
街ですれ違ったりしてそうな気がします』

『もはやハイキューキャラではなく、
普通の男女の恋物語の気持ちで読んでます』

『友達の恋愛を見守ってる気分です』

そんな感じ。
えぇ、極力、ドラマチックに
しないようにしないように心がけてました。

元カノ夫婦とバッタリ会うことすら、
私のような小さな街に住んでいれば
決して珍しいことではありませんし。

そんな当たり前の繰り返しのなかで

クロは、ちゃんと自分を見つめ直し
"なんとなく"の恋愛ではなく
"自分の守るべきもの"に気づいてくれた。

もう、つかめない影ではない。
誰かを光らせるための、広い、夜空。

プランナーちゃんも
自分の傷を見つめ直し、
痛みを避ける、のではなく
痛みの原因に向かい合ってくれた。

それは自分の全てを受け入れる、勇気。

本当に、ゆっくりゆっくり時間をかけて
距離を縮めていった二人。

書いてる間、私自身、何度も
胸が締め付けられる思いをしたし、
自分が働く意味や、
家族との関係を考えたりしました。

結婚式のシーンでは
登場してくれたみんながそれぞれに
夫婦として成熟してる姿を見てほしかったし

二人のその後のシーンは
直前までもっとサラッとしてるはずだった。

だけど、もう"終わり"が見えてきた頃に

『そうだ、研磨の会社と個人契約させよ』
『そうだ、さすがに大将の４回目の結婚、
はあんまりだけど、娘の結婚式ならアリ』
『そうだ、クロが名付ける娘の名前は
結婚式、そして結びの話、の思いも込めて
"結"にしよう。』

このあたりがバババババッと繋がって
まさにパズルのピースがピタッとはまった
感じでスッキリしたのを覚えてます。

この長い物語にも
たくさんBGMをつけてますが
マストを２曲だけピックアップしますと

チャペルの扉が開いて
みんなの姿が見えた場面は

キャラメルペッパーズの
♪ウェディングソング♪

金色の風船が夜空に飛んでいく場面は
369の♪バラード♪がイメージです。

あ、そして。
エキストラで出演してくださった方。
二人の北海道旅行の行き先を相談したら
『小樽の運河を手を繋いで歩いてほしい！』
とアイディアを下さったR様。
小樽のお寿司屋さんを教えるOLさんで
出演して頂きました。

それから、夢主の結婚式の時の
ネイルチップをデザインして下さったのは
Sさん。ありがとうございました。

最後に明かしますが、
このクロの物語、
込めた思いはいろいろありますが
大きなテーマは

『誰か一人、信じてくれるなら変われる。』

誰か一人、とは、
私にとっては、読者様お一人お一人。
会ったこともない私の書く言葉を
時間をかけて読み、
たまにはレビューやメッセで
思いを伝えてくださった皆様です。

どれだけ支えになり、
どれだけ嬉しかったことか。

お一人お一人に御礼を言うことは出来なくて
じゃぁ、どうやって感謝するか、といえば
書き手としては、物語を通して、何か１つ、
心に残る言葉を、
心を動かす思いを、
心の奥の想い出を取り出すきっかけを、
心の休憩場所になれるような時間を
お届けすることだな、と思って書きました。

クロの物語も
ウェディングプランナーそのものも
長い長いお話しになってしまいましたが、
(失敗作だと思っているものですら)
その時の私の正直な想いで書いてきました。

私の思いに沿わない言葉やメッセージは
１つもない、と、断言できます。

ここで出会ったたくさんの読者様。
現実で出会った私の家族。
そして今まで出会ってきた多くの人たち。

どの出会いも、
自分が引き寄せた奇跡の結果。
それを改めて、
自分の心の真ん中にしっかりと飾り、

この先、
私にも皆様にも
まだまだたくさんの
きらめく出会いがありますように、と
心から祈りながら、

この物語の
最後のページを閉じさせて頂きます。

目の前の一人を大切に。
目の前の一人を幸せに。

心が疲れたときは、

出会った日、
思いが通じあった日、
結婚した日、
子供がうまれた日、
ケンカした日、
仲直りできた日、

そんな、
自分達だけの記念日を
思い出してくださいね。

プランナーちゃんの祈りは
私の祈り。

『これまで私が出会ってきた皆さんが
ずっとずっと幸せでありますように。』


ウェディングプランナー作者

奥貫アキラ