第1章 僕らのはじまりのいろ
春のあたたかい風が透き通おる茶色の髪をなびかせる。
目の前には横に広がる大きな入口に
「高坂学園」の文字。
中には色とりどりの花が植えられている庭。
敷地の中にはチャペルのような建物もある。
あれは学校かな?寮ってどっちなんだろ。
「わぁ・・・ここがあの有名な高坂学園かぁ。
とうとうこの日がきちゃった。でも、
こんなに大きな学校だったんだね・・・。」
胸の前に握られた手をそえて・・・・
これから起きる未知の生活への期待と不安
を抱えて。
彩は目のまえに広がる広大な敷地にあっけにとられていた。
ここ高坂学園は
あの有名なデザイナーが経営する
知らない人はいない
全寮制の3年制専門大学である。
学校長である高坂美芸は
主に歌手や俳優の衣装デザインから
有名になりその独創的なデザインが
世の中の有名人たちを虜にしている。
現在も現役であり、この多彩な才能から
衣装デザインはもちろん
映画の舞台演出やCM、アニメ等の映像のデザインも
任されている。
開校時はデザイン学科を主に繰り広げられていたが、現在はデザインを中心にアイドル、俳優、声優、漫画・イラスト、小説家と様々なジャンルまで広がっており過去に著名人も世にだしている学校でもあるのだ。
ここの学園のもう一つの特徴は
講義については学科ごとそれぞれ分かれてはいるものの
決められているクラスも存在し
これは学科関係なく形成されているのだ。
わたし野色彩は
この春から今までの夢だったこの学園に
入学することになりました。
お母さんにも心配かけたけど、
これからはなんでも
一人で乗り越えるつもりでここまできたけど・・・・・
いまさらになって心細くなってきちゃって
ほんと情けない。だって寮生活も初めてで
やっぱり一人って寂しいよね。
って弱気になってどうするのよ!
私自身の夢叶えるためここまできたんだから
がんばらなくっちゃ!