第22章 あっちの王とそっちの姫
セリシアside
「…自分を犠牲に、か。」
「うん。…そりゃ、事によっては自分を選ぶ事もある…よ?」
現にこの人に妻に誘われた時はこの道を選んだしね。
まああれもシロナの言葉のおかげだけどさ。
「でもさ、周りの人…特に親しい人が悲しむのは嫌だもん。それなら、自分に不幸を回す。私一人で済むなら、それでいい。」
カルマさんは少しの間黙った。
でも、私は本当にそう思ってるから。
「…悲しい考えだね。」
「…なのかな。」
「はい。…少なくとも僕から見れば。…周りが幸せだとしても、自分が不幸じゃ意味がない。そう考えるんで。」
…そういう考えも、あることは知ってる。
納得出来ないわけじゃない。
ただ私はそう考えなかっただけ。
「…セリシアは、自分を犠牲にし過ぎなんだよ。もっと幸せを考えるべきじゃないの?」
「もう幸せになったよ。」
「今は?」
「…悩みがあるのに、そう簡単に幸せとは言えないよ。」
ジャーファルが居て、友達も居て。
普通に笑い合えてたなら悩みがあってもそれなりに幸せって感じただろうな。
でも、デアルとシロナが居なくなって、国に帰ってきて欲しいと言われ、民の為と言われて。
幸せと思うには…ちょっと悩みが大きいかな。