第19章 姫と刀使いの戦い
バッ
(!?)
早く、早く。
セリシアはひたすらに早く進める。
その動きにカルは驚く。
(今、見えなかった!?)
ビュンビュンと風を切るような音が聞こえる。
カルはそれをひたすらにかわす。
反撃する余裕も得られない。
しかしなんとか刀で受けるのが精一杯だが、それでも喰らうことはない。
(受けるな当たれいけっ!)
(今までより…早い!?)
セリシアはそう願い、カルは驚きつつ怒濤の攻撃から必死に逃れる。
斬る、より突く、がメイン的な攻撃に、刀で逃げるのはかなり難易度が高かった。
それでもやってのけているカルに、セリシアはどんどん楽しくなっていく。
(勝ちたい、強いこの人に!)
今までの疲れを見せず、むしろ加速するセリシア。
「くっそ!」
反撃の手が見えずジレンマを感じ始めるカル。
(…頃合いだ。)
セリシアはカルが冷静さを欠き始めたのを見てそう感じる。
スキを生み出すこと。
それがセリシアの狙いだった。
それは武術として、体幹のスキではなく。
(心のスキ、油断)