第19章 姫と刀使いの戦い
「…はー…。」
「そんな動き、初めて見ましたよ。」
「こっちもです。…まさか折られるなんて。」
木刀はその名の通り木でできているが、それでも折るには力がいるはずだ。
つまり、カルは驚く早さで驚くほど強い一発を出したことになる。
「どうします?棄権しますか?」
チラリとアイセさんを見る2人。
「勝負はついていない。木刀はもう1本あるが、変えるか?」
「いえ。…この長さでも構わないならこれでやりたいです。」
「ならば続けよ。」
(…そろそろ、ラストスパートにしなきゃ。体力がもたない。)
キユノ流王宮剣術。
それがセリシアの十八番の流派。
バルバッドの王宮剣術を元にいくらか自分たち風に変えたのがキユノ流王宮剣術。
だが、今までの木刀では長すぎて使えなかった。
それが折られたことで、十分な長さになった。
「大丈夫ですか?それで。」
「むしろ丁度いいです。」
強いて言うなら、軽くなったこと。
…自分の剣と長さはあまり変わらなくなった。
重さに慣れれるかが問題ではあった。
「…あと少しで、決着をつけますね?」
「そうしましょうか。お互いに体力が減ってますからね。」