第17章 キユノ王国一団
ジャーファルside
ああ、やっぱり。
最初に思ったのはそれだった。
それと同時に、胸に重石がのったように苦しい何かがくる。
…わかっていても、考えていても、やっぱり苦味を伴った何かが感じられた。
「…なんです?」
すぐさまシンがこっちを見てくる。
軽く眉間にシワを寄せて、シンは口を開く。
「お前、考えてたのか?」
セリシアがキユノ王国に帰るよう言われることを。
後ろにはそう続くのだろう。
だから、とぼけたってこの人には無駄だと悟れる。
「…一応考えてはいました。」
この顔から察するに、あなたもそうでしょう、シン?
「…シン。もしセリシアが国に帰る選択をしたら…。帰らせてあげてもらえませんか。」
ずっと考えていたことだった。
私にとってシンドリアが大切なように、彼女にとってキユノ王国は大切なはずだ。
それぞれ既に自分の一部といってもおかしくない。
「政治的な全てはもちろん私も考えます。」
切り離すことはできない。
それは彼女も同じだろう。
それにきっと彼女は優しいから。
民のために、と言われればきっと帰ろうとするだろう。
しかも自分にしかできないと言われれば、使命感を感じるだろう。
「お前はいいのか?」
そんなの決まってるでしょう?
「嫌ですよ、当然。…ですがそれとこれは別ですよ、シン。」