第59章 夜空に咲く、大輪の花
「だが、今回はそうもいかなかったんだ。
……理性では俺が君を求めることは
決して理想的じゃないと思っていても、
本能は君を強く求めていて。
その狭間でずっと立ち往生していた。」
「……ってことは、
最終的に本能が勝ったの?」
「ああ。だが、本能が勝ったのが
こんな土壇場になってしまったせいで
今さらすごく焦っているよ。」
小さく笑みを溢したエルヴィンは
そっと凛の手を握り、
「……話の続きは、
リヴァイと合流してからにしよう。
早くリヴァイを止めないと、
“あの店主”はまた絶望の淵に
立たされることになりそうだ。」
と、わなげの屋台に向かって歩き出した。