第42章 甘い文字
「俺もかなり消化不良だ。
家に帰ったら、すぐにでも君を抱きた」
「ちょ!!声、大きいからね!!!」
人が多く行き来する映画館のシアターの前で
平然と欲求不満宣言をする
エルヴィンの口を塞いだ。
団長の顔を見せたかと思えば、
突然所構わず大胆発言を飛び出させ、
簡単に欲情し、
かと思えばすごく優しくて強い言葉を
掛けてくれる。
掴みどころがないにも程がある……
少し分かった気になった気がしても、
結局それがエルヴィンの本性なのかは
分からないままだ。
……でも今は、
どっちも本当のエルヴィンなんだとも
思うようになっていた。