第41章 作戦と不足を補う方法
しばらくの沈黙の後、
「……いや、今の聞こえなかったでしょ?」
と、再び呟くような声で言ってみる。
「ああ。
だが、大体口の動きで
何を言っているかくらい分かる。」
……目も良い上に、
読唇術も身に付いているのか。
やはり、この“団長”の目に、
誤魔化しは効かないらしい。
「……人肌恋しいのか。」
いきなり図星を突く発言をされ、口を噤む。
「君もあまり一人で眠ったことが
なかったんだろう?」
エルヴィンの大きくて暖かい手が
優しく髪を撫でると、髪にまで神経が
あるんじゃないかと思ってしまうほど、
身体が熱を帯びてきた。