第37章 恩返しと覚悟の時間
「でも、二人とも選ばない
って選択肢も考えてる?」
「……うん。
多分それが一番いい選択なんだと思う。」
範司の問いかけに答えながら、
小さくため息が漏れる。
“どちらとも選ばない”
という選択肢を選ぶことは
二人が恋人になりたいと申し出てくれた時から、
考えていたことだった。
二人が元の世界へ戻るのに、
私が付いて行くのも、
私の存在を心残りにしてもらうのも、
好ましくないと思う。
勿論、どちらか一方を選べないという、
なんとも贅沢な悩みもあるけど、
やっぱり私が、これ以上二人に肩入れするのは、
良くない気がした。