第25章 “ししゃとつながるへや”
「そうなると、元の世界に戻る時も
死にかける必要がある
ってことになるじゃねぇか。」
「そうだったら困るよね……」
それについては、私も考えていたことだった。
もし、死者ではなく、
死の淵に立たされた人間が
タイムスリップしてくるのであれば、
元の世界に戻る際も、
再び死を意識しなくてはいけない。
そう考えるのが自然だろう。
でも、それが元の世界へ戻るための
絶対条件だとしたら。
二人に人生の幕引きの瞬間を、
もう一度味わってもらわないと
いけないことになる。
その方法を考えることが怖くて、
毎度毎度思考を中断してきたが、
もしそれしか元の世界に
戻る方法がないのなら。
その時は腹を括るしかない、
そう思えるようにもなって来ていた。