第1章 非凡が現れる場所
田舎でのんびり過ごすのが夢でした。
……そう言ってしまえば聞こえはいい。
勿論、それも嘘ではない。
でも、私がここに来た本当の理由は、
スローペースで生きる為じゃない。
マイペースな生活を送る為でもない。
歩むことも、生きることも、
全てやめる準備をする為だった。
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時は2014年、夏。
都会の茹るような暑さとは打って変わって、
田舎の夏は、カラッとした空気が
肌に気持ちいい。
何に遮られることもなく吹き抜ける風が
心地良く髪を揺らした。
木が多いだけで、
こんなにも違うものなのか。
人や車が少ないのも
関係するかもしれない。
でも一番の違いは、
“自分の心持ち”なんだと強く思う。