第1章 日常⇒非日常
なんの長所もない女子高生。
短所といえば沢山あげられるのだろうが強いて言うなら長所がないところ。
特別美人とか可愛いわけでもない、頭もよくないしできるのは美術や音楽といった芸術科目。国語は多少できるものの化学や数学といった理系科目にはさっぱりな女子高生。
今年の春、どうにか進級できて2年生となり、新クラスでも友達ができて何となく馴染んできたのは今、6月下旬の話だ。
「はい、はいはい、今日も何もありませんでしたー」
「変わらないでいいことじゃんか」
の後に続いたのは友達の薫。
薫はとは違い完璧理系脳で気持ちが悪いほど数学で点数を稼ぎまくる。出来ないものからすれば平均点を上げてくる敵の他ない。
「つーかさ、その額…もしかしてまだやってるの?」
薫が心配そうにの額を指さす。
痕がついており、痛々しいくらいに内出血をしている。
「ありっ、見えた?前髪で隠してたんだけどなぁ」
恥ずかしそうに前髪をとかす仕草をして自分の額をぽんぽんと叩く。授業中寝ただけでは内出血はしないだろう。
一体は何をやっているのだろうか。