第19章 引退
数時間、私はトイレに籠もっていた。
腫れた顔を見られたくなかった。
体育館に戻ると、宮地先輩が一人、シューティング練習をしていた。
宮地「あ、瑞穂」
瑞穂「あ………」
宮地「ずっと戻ってこねーから心配してたんだぞ」
また、涙がこぼれた。
宮地「なんだよ……泣くなって」
宮地先輩が頭をワシャワシャと撫でてくれた。
それで、余計に涙がこぼれる。
宮地「なんだよ……俺が死ぬみてーじゃん」
瑞穂「でも……」
宮地先輩は、なにもいわず、私の髪の毛を整えだした。
涙に濡れてボサボサ、それが乾いてパリパリに……。
顔にも大量の髪の毛が付いてる。
宮地「……あんま泣くなよ。泣いてっと、顔がやべー事になるぞ」
瑞穂「うっ……」
手付きがたどたどしくて、それがまた可愛い……
多分、女の子の髪の毛なんて触った事ないんだろうな……。
宮地「……お前は、笑ってる方が可愛いから、泣くな」