第12章 episode 12-1【アランとレオ】〜競争心理〜
アランはジルの執務室からそのままルリーの部屋の前に来ていた。
(勢いで此処まで来ちまったけど……ルリーになんて聞いたらいいんだ?)
アランは昨日のルリーの様子を思い出した。
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それは昨日の廊下での出来事だった。
騎士団の訓練場にいく為に廊下を足早に歩いていたアランは、廊下の向こうにルリーを見つけた。
ルリーは普段、アランを見つけると直ぐに気付いて、名前を呼びながら足早に掛けてくるのだか、その日はアランにも気付いていない様子だった。
アランが自分からルリーを呼ぼうとした時、ルリーの顔が突然かぁ…っと赤く染まった。
アランは、ビク…ッと立ち止まり、そのままルリーを見た。
ルリーは何か考え事をしているのか、赤い顔のまま、窓の外をぼんやり見上げる。
その横顔に妙に艶を感じて、アランは思わず顔を背けてしまった。
(なんだ……あいつ熱でもあるんじゃないのか?)
ふと、そう考えて、またルリーに視線を向けると、今度は何故か思い詰めた様な不安気な顔をして、そのままフラフラと自室の方へ歩いていってしまった……
結局アランにも気づくこと無く……