第11章 episode 11【レオ】〜秘密〜
「ルリーちゃんはいけない子だね。こんな時間に執務室とはいえ、男の部屋に一人で来るなんて」
「何かされても文句いえないよ?」
レオは平静を装い、いつもの様にルリーに妖しく微笑みながら、囁く。
「…………。」
しかし、ルリーは下を向いたまま何も語らない。
「ルリーちゃん……どうしたの?」
レオが真面目に聞くと、ルリーは初めて顔を上げた。
その目は不安の色を宿している。
「レオ……。私…レオに何かした?」
ルリーから紡がれた言葉は意外なものだった。
「え?」
「レオは……私の事避けてるよね」
いきなり直球を投げられ、レオは言葉に詰まる。
「……どうしてそう思うの」
レオは胸にチクリと痛みを感じた。
「私はレオが時々辛そうな顔をしてるのを知ってるよ。」
ルリーの瞳が切なげに揺れた。