第10章 episode 10【ルイ】〜愛情〜
「本当は、もっと早くあそこに連れて行きたかったんだけど…遅くなって、ごめん……」
ルリーは首を振る。
「謝らないで…私は今日、本当に感謝しているよ」
それは、決してお世話などではない、ルリーの素直な心だった。
ルリーの言葉を聞いて、ルイは急にルリーの隣りに座り直した。
そして驚くルリーの髪を掬い、壊れ物を触る様に優しく、優しくキスを落としながら耳元に甘く囁いた。
「ルリー…実は俺は嫉妬してた…花を一緒に探していたアランにも…さっきの教え子にも…。」
「こんな俺は嫌?」
もう少しでルリーに触れてしまいそうな口唇に……囁きの度に耳に掛かる甘い吐息に……ルリーは、恥ずかしさに震えながら首を振る。
「よかった…アイリスは俺の気持ちだから…受け止めて欲しい」
「……?う…ん」
緊張で思わず返事をしてしまったが、その時のルリーにはルイの告げた意味がよくわからなかった……