第10章 episode 10【ルイ】〜愛情〜
「遅くなっちゃって…本当にごめんね…」
ルリーは教え子に白い花を見つけられなかった事を謝った。
「ううん!戻って来てくれて、本当に嬉しい!」
教え子は屈託の無い笑顔で微笑んでくれた。
「あのね、お母さんね、段々良くなってきてるの!」
「だからね、先生は王子様と幸せになって大丈夫だよ」
ルリーは不意に教え子から飛び出した言葉に、えっ?と驚く。
「あの人、先生の王子様なんでしょう?」
耳元で周りには聞こえないくらいこそこそと、教え子は聞いてきた。
ルリーは真っ赤になりながらルイを見たが、ルイはちょうど此方には気付いていない様だった。
ほっ、と胸を撫で下ろしながら、ルリーは教え子との久々の会話を楽しんだのだった……