第3章 episode 2【ジル】〜出会い〜
そう、口を開こうとした時、扉を開けてジル様が此方へ入って来た。
「お待たせしてしまい、申し訳ございませんでした」
「いいえ……」
「おや?アラン殿は何故ここへ?」
「お二人はお知り合いだったのですか」
ジル様は二人を見つめながら、はっきりとした口調で聞いてきた。
「こいつが、城の中で迷ってたのを拾ったんだよ」
アランが素っ気なく答える。
「そうでしたか」
ジル様は穏やかに、でも何処か含みを持たせた様に頷いた。
「さて、ではルリー様。ご自分のお部屋へご案内致します」
肩に手を置かれ、そのまま押す様にその場を移動させられる。
アランは、そんな二人の後ろ姿をただ見つめていた……