第23章 episode 17【アルバート】〜出会い〜
ウィスタリアの視察団を迎えたのは、シュタインの黒い軍服に身を包んだ眼鏡の若い男性だった。
「はじめまして、プリンセス」
その男の人は、すらっとした高身長で清潔感の漂う黒髪の短髪。
眼鏡をくい、と上げる仕草は少し神経質そうな感じがしたが、特に嫌な感じはしなかった。
向こうから挨拶を受け、ルリーは慌てて社交的な挨拶を返した。
「私はシュタインのアルバート=ブルクハルトと申します。国王ゼノ様にお使えしております」
アルバートと名乗った彼には、ルリーの周りにいるウィスタリアの男性達とは違う、独特の威圧感があった。
(確か、レオのレッスンで何回か出てきてたんだよね……シュタインとの国境付近では偶に争いが起きるとかって……)
そんな謎の国の男性を前にして、ルリーは少し狼狽えてしまう。
そんな雰囲気もあってか、会談は終始アルバートのペースで進められ、淡々と要件を話し始めた。