第3章 episode 2【ジル】〜出会い〜
「どうも、ルリーさん。お初にお目にかかります」
そう告げると、ジル様は徐に膝間づき、ルリーの手の甲に触れる様な口づけを落とした。
「っ……!!」
ルリーは一体何が起こったのか、訳が解らずにその場に立ち尽くしていた。
「皆様にお伝えします。本日ここに、新たなプリンセスが誕生致しました」
「あなたが選ばれたのですよ」
ジル様にそう耳元で囁かれ、ルリーは耳がかぁっと熱くなるのを感じた。
「わ、私が……選ばれたのですか?」
「えぇ。プリンセスの教育係となる者が選ぶしきたりとなっております」
目の前で妖艶に微笑むジル様に瞳を奪われながら、ルリーは、今起きている事を噛み締めることで精一杯だった。